野生生物調査実習

 今年度は秋学期に授業期を変更し、三密を避けた対面授業を行いました。

2020年度の実習

光風園を中心とした実習ですが、生態学実習よりもやや踏み込んで、生物を直接扱い、測定を行なったり種同定を行なったりする作業を伴う内容を多く含みます。このため、2020年度は例年春学期に行っている授業を秋学期に移動し、対面を基本とした授業を行いました。これまで1教室で行ってきた室内作業を2教室にわけて、人数を制限して三密を避けました。また、学生には体調管理の徹底、手指の消毒、マスクの着用、できる限りのフェイスシールドの併用が義務付けられました。マイクロソフトのClassNoteアプリケーションを利用して班内のデータをクラウド上で共有する、ZOOMのブレイクアウトルーム機能を用いて班作業を行う、などできるだけ教室内での作業時間を減らすようにしました。成果発表会も、ZOOMを利用しておこないました。実習内容は例年とほぼ同じでしたが、季節が異なるため、”いつもと違う生物”が観察されることもありました。

土壌動物調査 
光風園内の環境の異なる2地点を選び、 土壌サンプルを層ごと(A0層〜B層)に一定量採取してその中の土壌動物の個体数や種構成を調べます。また、土中の水分含有量、土壌温度等の環境データをとって2地点間の違いを考察します。写真は水分含有量を算出するための作業を行っているところです。

河川環境測定と水生生物相調査 
例年は初夏に大学付近を流れる二つの沢で水生生物相調査をおこない、その多様度指数や、構成種がどのように異なるかを分析し、二つの沢の環境を比較しています。2020年度は秋に実習をおこなったため、例年と異なる生物が採集されたようです。また、早い夕暮れ時間、気温の低さに配慮する必要がありました。

2019年度までの実習の様子

光風園を中心とした実習ですが、生態学実習よりもやや踏み込んで、生物を直接扱い、測定を行なったり種同定を行なったりする内容を多く含みます。

鳥類のラインセンサス法、スポットセンサス法 
夏鳥の繁殖時期に光風園で、一定距離を一定時間で歩いて出現種を記録し個体数密度を量的に捉えるための調査方法や、一定時間にある地点に出現する種を記録する方法を学んでいます。
河川環境測定と水生生物相調査 
水生生物相はその河川がどのような環境であるかを知るための指標とされることもあります。大学付近を流れる二つの沢で調査をおこない、その多様度指数や、構成種がどのように異なるかを分析し、二つの沢の環境を比較しています。
無尾類の形態計測 
標本は単に保存するだけでなく、それから得られるデータから種の識別点の確認、成長段階、個体群変異、雌雄差を知ることができます。実習では無尾類の測定通して、これらの重要性を学んでいます。
鳥類の体サイズ測定、性別判断、頭骨標本作成
一部の鳥類は性的二型(雌雄差)が顕著ではなく、外見で性別が判断しにくい場合があります。実習では、まず外部計測をおこない、頭骨標本や羽標本を作成し、解剖もおこなって個体を精査しています。
 野生動物からのDNA抽出、PCRによるDNA増幅 
近年、野生生物調査においてDNAの分析は様々な場面に用いられています。実習では鳥類の解剖による雌雄判別結果と、DNAによる性別判断の結果が一致するかどうかを確認しています。
成果発表会
班ごとに、各テーマのデータ分析結果を発表し、プレゼンテーションの実際を学んでいます。